73.今までアナログと言ってきましたが、実は私、デジタルと言います~デジタルプラグインとアナログプラグイン~

プラグインの中には、デジタルとアナログとがあります。
デジタルコンプとか、アナログEQとか。

アナログはビンテージとか言う場合もあります。
だいたい、実物のような見た目をしていることが多いです。
実物のような見た目のデジタルもあれば、デジタルっぽい見た目のアナログもあるので、絶対ではないのですけど。

実物のような見た目と書きましたが、そもそもの前提として、ハードとソフトというものがあります。

ハードというのは、実際に物があって、つまみなどを触れるやつです。
ソフトというのは、パソコンの中で使っているやつです。

ボクはシンセサイザーが好きとよく書いているのですが、正確にはソフトシンセサイザー(ソフトシンセ)です。
それに対して、ハードシンセサイザー(ハードシンセ)というのもありまして、それはお店で売っていたりするものです。

ソフトシンセはいくら買っても置き場所に困らないです。
実物ではないから。

ハードシンセは買えば買うほど部屋が狭くなります。
実物ですから。

これは、コンプだって、EQだって、アンプだって、全部同じです。
そして、そもそも音楽をつくるのは、ハード、実物を使って行っていたわけです。
だから、本当に音楽をつくろうと思っても、普通の人にはできなかったわけです。

それがパソコンができて、ソフトでできるようになったので、今や、パソコンさえ持っていれば音楽をつくることができるようになりました。

で、基本的なことですが、

パソコン内で使うソフト、プラグインは全て「デジタル」

です。

パソコンですから。

つまり、アナログコンプ、ビンテージEQ、などと名乗っていたとしても、パソコンで使用するプラグインは、全て「デジタル」です。
「アナログ」は「デジタル」です。

じゃあ、「アナログ」ってなんだって話ですよね。

話がハードに戻りますが、昔は楽器だって、エフェクターだって、全て実物だったわけです。

例えば、パソコンみたいなものですね。
色々な部品を組み合わせて、音を変化させるためのモノをつくって、それを使っていたわけです。

さて、パソコンって、最近はマシになったけど、色々な音を発しています。
ファンの回る音や、ハードディスクが小さな音を出していたり。
けど、パソコンは文書をつくったり、絵を描いたり、音楽をつくったりするためのもので、

ノイズを出すことを目的としているわけじゃありません。

でも、それを消すことができない。
それは、結局、実物だからなんですね。

実物だから、物理的なことや、電気的なことに、どうしても影響されるわけです。

で、楽器やエフェクターも同じで、ハードは実物である以上、

目的としていない、意図していないことが、どうしても起こってしまう

わけです。

それを解決したのが、「デジタル」です。
デジタルは目的としていない、意図していないことは、起きません。

デジタルで、全てが解決した・・・はずだったわけです。

けど、何かが違うんですね。

結局、ハードの「目的としていない」「意図していない」ことが、実は音を良くしてくれていたわけです。
倍音が増えたり、歪んだりして。
だって、倍音を増やすエフェクターや、歪ませるエフェクターがあるぐらいですからね。

ハードの「目的としていない」「意図していない」効果がやっぱり良かったな、ということで、結局、デジタルでそれを実現するようになるわけですね。

デジタルは、「目的としていない」「意図していない」ことは起きないので、

ハードで起きていた現象をプログラムで実現する。

それがアナログプラグインです。

で、本来の目的以外のこともプログラムして行うので、

アナログプラグインはCPU負荷が高い

ことが多いです。

面白いですよね。

ハードは欠点があって、ソフトは欠点がない。
欠点があるハードの方が味があってよいということで、欠点のないソフトに、あらゆる処理をして欠点を加える。

ちなみに、ハードの場合は、部品によって、組み方によって、配置によって、それぞれの機種にそれぞれの特徴があったわけです。
だから、実機の○○を再現したプラグインということになるわけですね。

同じコンプでも、○○を使うと音に暖かみが出て、△△を使うと音が太くなって・・・など。

じゃあ、欠点のないソフトは、どのコンプでも同じじゃないのか?という話ですよね。
それなら、コンプはこれ、EQはこれ、と1つあればいいんじゃないのか、と。

これが、

デジタルでも、それぞれのプラグインの味がある

のです。

ただ、デジタルのプラグインの場合の味というのは、プログラムの違いですね。
だから、同じメーカーのコンプでも、このコンプはこんな感じで、あのコンプはこんな感じで・・・なんてことになるわけです。
残念ながら・・・そうやって、お金が減っていくんですね。

もちろん、どれだけの人が、本当に音の違いを感じているのかわかりませんけどね。

プラグインごとの特徴をちゃんと耳で認識できて、目的に合わせてプラグインを使い分けることができる人。
音の違いを感じることができる人が言っていることを鵜呑みにして、「こういう場合はこっちのコンプがいい」と言っている勉強熱心な人。
音の違いなんかより、見た目や使い勝手が大切という人。
その時の気分で使い分けたいんだ、という人。
とりあえずたくさんコレクションしたいんだ、という人。
ボクの曲を良い曲にしてくれるプラグインがどこかにあるんじゃないか、という幻想を抱いている人。←ボクです。

色々な方がいると思いますが、そうは言っても、新しいプラグインというのは、テンション上がりますよね。
モチベーションが上がるのであれば、それはそれで良いことですよね。

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