ベロシティと音量は違う~と思いきや~

さて、DTMをやっているとベロシティという言葉を見かけることがあるかと思います。

このベロシティというのが、結構ポイントだとよく言われる。
じゃあ、ベロシティってなんだ?って話ですね。

ということで、ベロシティについてまとめてみよう。

そもそもベロシティは何を調整しているのか

よく生っぽいとか、打ち込みっぽいとか言われることがある。
ボクは、打ち込みなんだから、打ち込みっぽくて良いじゃないか、と思っている。

ボクは思っているけど、打ち込みでも生っぽいと思われたい人も多いことでしょう。

生っぽくするためにはベロシティがポイントだってよく言われますよねぇ。
じゃあ、ベロシティが何を調整しているのかってことですね。

これはタッチ感とでも言えばよいのでしょうか。
キーボードでいえば打鍵の強さ。

例えば、目の前に机があるとしましょう。
机をてのひらでチョンと叩く。
机をてのひらで思いっきり叩く。

当然、出る音は違いますよね。
何が違うって、音量が当然違います。

ピアノでも、やさしく弾いたときと、強く弾いたときでは音量が違います。

その音量の違いが、生っぽさにつながる・・・というのも確かですが、それだけじゃないんです。

さきほどの机をたたくことに戻りましょう。
音量は当然違いますが、違うのは音量だけではありません。
出る音自体も違います。

実際に机を叩いてみたらわかることかと思います。

ピアノだって、打鍵の強さによって、音量だけでなく、音も違うわけです。

ベロシティは、この打鍵の強さによる音の違いを調整するものなんですね。

つまり、ベロシティを調整するということは、

音量を調整するのではなく、打鍵の強さを調整する

わけです。

実際の楽器の場合は演奏の仕方で調整できるので、ベロシティなんてありません。
けど、プラグインの場合、キーボードを強くたたいたって、マウスを力強くクリックしたって、何も変わらないわけです。
だから、その代わりにベロシティをマウスで調整していくわけですね。

まぁ、それをつなぐためにMIDIキーボードというものがあります。
MIDIキーボードは、ポチポチMIDIを打ち込まないでも入力できるというものですが、それだけではなく、MIDIキーボードの打鍵の強さによりベロシティも入力されるわけですね。
安物のMIDIキーボードの場合は、ベロシティの入力がされないものもあるのかもしれませんが・・・

ベロシティによって音はどう変わるか。

じゃあ、音はどう変わるのか。
キックのベロシティを8段階でかえた音を聴いてみましょう。

まずは、オーディオ化したものを視覚的に見てみましょう。

音量じゃん。

まぁ、聴いてみましょう。

音量じゃん。

ということで、ちょっと加工してみましょう。
先ほどのものを、音量を同じになるようにしてみましょう。
それがこちら。

わかりますかねぇ。
パッと見、同じように見えますが、よぉく見ると、微妙に波形が違うんですよねぇ。

で、音がこれ。

音量を同じぐらいにしても、音が違いますよねぇ。
これがベロシティの違いですね。

ベロシティの数値を小さくすると、音量が小さくなるので、ベロシティと音量って、同じもののように考えてしまう人もいるようですが、それだけじゃないわけです。

別のプラグインの音で確認。

これを音量をそろえたのがこちら。

こちらの方が、違いがわかりやすいですね。

音はこちら。

やっぱり、全然違いますね。
音量が違うとわかりにくいですが、音量をそろえると音の違いがよくわかります。

ベロシティの注意点

 
別のプラグインで、もう少し聴いてみましょう。

で、音量をそろえたもの。

はい、気づきましたか?

このプラグインの場合、音量をそろえた時の音が全く同じですよね。

最後に、もう1つ別のプラグイン。

これ、音量をそろえる前のやつです。

音量をそろえていないにも関わらず、音も音量も全く同じですよね。

つまり、

プラグインによって、ベロシティは単なる音量と同じ役割をしている

ことがある、ということですね。

最後のプラグインのように、

プラグインによって、ベロシティは全く機能しない

ものがある、ということです。

大事なことですが、プラグインというのは、楽器じゃないんですよ。
いや、当たり前のことですが。

プラグインがどうやって音を鳴らしているかというと、
弱く打ったキックの音を録音、強く打ったキックの音を録音。

で、

ベロシティの数値が小さいときは、弱く打ったキックの音を録音したものを鳴らす
ベロシティの数値が大きいときは、強く打ったキックの音を録音したものを鳴らす

という仕組みなんですね。

高価な音源プラグインとは・・・

 

ということは、さらに大切なことが、

プラグインによって、いくつの音が録音されているかは異なる

ということです。

今、ベロシティを8段階で変えましたが、だからといって、8種類の音が出てるかは不明なわけです。

ベロシティが0~100まであるからと言って、100個の音が出るわけではないんですよ。
2種類しかなければ、50以下が弱く打ったキックの音、51以上が強く打ったキックの音、となっているかもしれないわけです。

つまり、ベロシティを変えたらいいと書いているから、73、71、72、70と設定したとしても、もしかしたら、同じ音が出ているかもしれないわけです。

プラグインによっては、5、90、5、90と設定しても、音量が変わっているだけの場合もあるし、音量すら変わっていない場合もあるわけです。

だから、ベロシティを変えるのはよいですが、自分の使っているプラグインが、ベロシティの変化でどう変わるかを知る必要があるわけです。

ということで、何となくわかってくるかと思いますが、つまりは、

高価な音源プラグインというのは、こういう微妙な違いのある音がいっぱい入っている

わけですね。
今回はベロシティの話をしていますが、ベロシティ以外の違いもあるわけですよね。
もちろん、必ずしもそうとは言えない場合もあるでしょうけど、概ね、そう理解してよいのではないでしょうか。

さらにいえば、だから、高価な音源プラグインは、容量が大きいんですね。
容量が大きいということは、それだけ音がたくさん入っているということですよ。

まぁ、ドラムキット自体の種類が多いということも原因の一つではありますけど。

逆に考えれば、

安い音源プラグインは音が悪いとは言い切れない

ですね。

安い理由によりますよね。

音はとてもよいけど、ベロシティの違いによる音の変化がないのかもしれません。
例えば、ものすごく良い音が1つしか出ないプラグインとかは安くつくれるかもしれませんね。
1つの音しか出ないけど、その1つはものすごく音が良い。

つまり、プラグインの金額は、色々な理由によって決まるわけですね。

まぁ、概ね、

高価なものは良い音が出る

という認識で間違っているわけじゃないでしょうけど。

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