コンプのアタックとリリースって結局なんぞえ ~調べてみると思いの外、音が変わるものです~

コンプって、わかるようなわからないプラグイン、ナンバーワンなんじゃないだろうかと思うのはボクだけでしょうか。

いや、わかるんですよ、わかるんですけどね。

そもそもコンプって何?

コンプってのは、音を圧縮するプラグイン。
もっと端的に言えば、音量を均一化するプラグイン。
詳しくはこちら。

例えば、ドラムなんかがわかりやすいかと思いますが、ドラムっていくつかの楽器の集まりみたいなもんじゃないですか。
そうなると、大きな音の楽器もあれば、小さな音の楽器もあるわけです。

大きな音が大きすぎると、小さい音が相対的に小さすぎるわけで。
ということで、大きな音が、ある一定の音量を超えた場合、それ以上上がらないようにして、小さい音もちゃんと聞こえるようにしよう、と。

他にも、極端に大きな音が瞬間的にでも入ることにより、クリップするわけですね。
そうなると、曲全体の音量ってのは、それ以上大きくできないわけです。

ということは、その音が鳴っているときは、音量が十分であっても、その音が鳴っていないときは、音量がとても小さい。
かといって、クリップするから、音が上げられない。
これが、音圧が低いという状態。

ボクが曲を創りはじめた頃に、なんで自分の曲だけこんな音が小さいんだろう?って思っていたんですが、これが原因。
瞬間的にクリップするぎりぎりの音量が鳴っているんだけど、それ以外のときがずっと小さいから、当然、全体的に音量は小さいですよね。

他にも、コンプを通すと音が変わるので、音創りの観点でもコンプってのは使われたりもします。

で、この音量以上は上げるなの、「この音量」の設定がスレッショルド。
この音量を超えたときに、どれだけ音を上げないようにするのか、つまり、スレッショルドを超えた音は、超えた分の半分の音量にしろ、とか、1/20にしろ、とか、そういうのの設定がレシオ。

まぁ、とりあえず、それはなんとなくわかる(ぎりぎり)。

が、初心者にさらにわからないのが、アタックとリリース。
これも、まぁ、説明としてはわかるんですけどね・・・

上で紹介した記事にこう書いています。

Attack(アタック)とRelease(リリース)。
これは「せっかち」か「のんびりや」かを選ぶ要素。

アタックは、スレッショルドより音が大きくなった時に、
「オッケー、すぐ抑えつけるぜ」ってするか、
「んー?あぁ、届いた?じゃぁ、抑えつけるかぁ」ってするかです。

リリースは逆で、スレッショルドより音が小さくなった時に、
「オッケー、抑えつけるのは、すぐやめるぜ」ってするか、
「んー?あぁ、もういいの?じゃぁ、抑えつけるのはやめるねぇ」ってするかです。

まぁ、端的でよろしいですね。
いや、まさにその通りなんですが、今回はもう少し詳しくみていこうと思います。

アタック

先ほども書いたように、アタックは音量がスレッショルドを超えた時に、圧縮するまでの時間なわけです。

というわけで、実際に音を聴いてみましょう。
スネアにコンプをかけます。
かなり強めに圧縮する、つまり、大きな音が出ないように設定して、アタックを変えたら、音はどう変化するかを見ていきましょう。

H-Compというのを使用します。
ATTACKを左に回すと速く、右に回すと遅くなります。

音が変わったのはわかりますよね。
けど、ボクもそうですが、何が変わったのかよくわからない。
遅くすると、音量が上がったなぁ、というのはわかるんですけど。

が、もう一度よぉく聴くと分かるんですが、音量が上がったというより、別の音が追加されている感じがしませんか。

目で見てみましょう。

これが元の音源。

スネアの音って、叩いた瞬間に大きな音がでるんです。
これはスネアの皮を叩いたことにより、スティックと皮が当たったときの音なんですね。

で、その後、まだしばらく音が続く。
こちらは、スネアの皮が振動していることによる音です。

この2つが合わさって、スネアの音ができているわけです。

で、これが、アタックを一番速くした音源。

全然違いますね。
つまり、アタックが速いということは、最初のパンという大きな音もすぐに抑え込んでしまうわけです。

で、こちらが、アタックを一番遅くした音源。

ちょっと音量が上がってしまっていますが、アタックが遅いということは、音量を超えてから抑えるまでにタイムラグがあるということです。
そうなると、最初のパンという大きな音が鳴っているときには、まだ音を抑えていない状態です。

ということで、こういう最初のパンという大きな音を抑えるのがコンプの役割ではあるのですが、完全に抑えてしまうと、スネアの音の感じがパッとしなくなるわけです。
で、そのあたりの匙加減を、ATTACKで調整するわけですね。

ここまで抑えると、スネアの音が気持ちよくない、
ここまで抑えすぎないと、コンプの意味がない、
みたいな。

まぁ、結局は、自分で聴きながら、決めていくことになるわけですが。

逆に、パットと呼ばれるような音色、ずーっと同じような感じで、ぬべーっとなっているような音だったら、ATTACKが最速でも困らないわけですよね。

リリース

次は、リリースです。
リリースは、音量がスレッショルドの設定を下回ったときに、圧縮を解除する速度になります。

アタックは圧縮の開始、リリースは圧縮の終了ということです。

こちらも、設定を変えたらどうなるのか、聴いてみましょう。
今度は、スネアを連打してみます。
同じくH-COMPを使用しますが、これもRELEASEを左に回すと速く、右に回すと遅くなります。

これも、音が変化するのはわかりますが、何が変化しているんでしょうね。
こちらも目で見てみましょう。

元の音源がこんな感じ。

連打しています。

で、リリースを最速にした場合がこちら。

まぁ、がんばって抑えられていますねぇ、コンプですので。

で、リリースを最も遅くなった場合がこちら。

こちらは、はっきりわかりますね。
最初のパンのところがより顕著ですが、一番最初から、だんだんと小さくなっていってますよね。

なぜ、こうなるのかというと、当然、リリースが遅くなったことにより、音量がスレッショルドを下回っても、圧縮が解除されないまま、次のスネアの音が入ってきているわけです。
解除しきれないまま圧縮、解除しきれないまま圧縮・・・と、行列ができているレジみたいな状態なわけです。

もちろん、圧縮を解除する時間によって、音色も変わりますので、好みの音になるように耳で聴いて調整するのも大切ですが、リリースに関しては、こういう連続で鳴っている場合は、別の注意も必要になってくるわけですね。

結論

というわけで、よくわからないアタックとリリースですが、結構、音の感じが変わることがわかりました。
で、どう設定するのがよいかというと、耳で聴いて、好みのあたりにするのが良い、ということです(笑)

スネアにかけるときにアタックを最速にすると、最初のパンというのまで圧縮されたわけですが、その音が良ければ、それでよいわけです。
連打したときに、リリースを遅くしていると、だんだん小さくなる(当然、ある一定のところでおさまるわけですが)けれど、それで良いと思えば、良いわけで。

ただ、そういうものだと分かっていないと、なかなか耳だけでは判断できないかもしれないなぁ、というだけの話でした。

しかし、思っていた以上に、アタックとリリースの設定で音が変わるんだなぁ、と改めて思いましたとさ。

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