コンプのくせにスレッショルドがない、だと?~アナログコンプの使い方~

同じ種類のプラグインでも、こっちのプラグインにはこのつまみがあって、こっちにはない、とかいうことがよくある。

逆に、全ての機能をひっくるめて、1つのノブに集約してしまうというワンノブ系のプラグインもあったりする。
細かいことはいいんだ、という場合には、非常に便利なタイプです。

さて、そんな中でも、つまみの有る、無しが多いのがコンプなのではないかと思う。
レシオがない、アタックがない、リリースがない、コンプは結構あったりする。

ただ、スレッショルドがないコンプに初めてであったときは、呆然とした。
スレッショルドがないって、どうすんだ?と。

こんなやつですね。

スレッショルドがないタイプはアナログコンプが多い。
所謂、実機をモデルにしてつくられたやつですね。

つまり、そもそも実機にスレッショルドがなかったという単純な話なわけです。
そんなことはもう知ってるよって人にとっては、どうでもいい話です。

さて、そもそもスレッショルドとはなんぞえ、って話ですね。

コンプは、音を圧縮するエフェクター。
その中でも、スレッショルドというのは、この音量を超えたら圧縮を始めろ、というつまみなんですね。
Studio One付属のコンプでいえば、こんな感じですね。



黄色のラインがスレッショルドで、ここを超える音量は圧縮する、ということですね。

波形でいえば、こんな感じ。

スレッショルドを黄色にするか、オレンジにするか、赤にするかで圧縮される部分が変わってきますよね。

このスレッショルドがないということは、スレッショルドは固定で、何の設定もしようがなく、ただただ、そのプラグインを挿したら終わりなのか、というと、半分は正しく、半分間違い。

半分正しい、というのは、このタイプのコンプは、スレッショルドが固定である、ということ。
半分間違い、というのは、何の設定もしようがない、ということ。

じゃあ、どうやって設定するかというと、スレッショルドを下げるのではなく、インプットゲインを上げる、という方法を使います。
スレッショルドが固定されているということは、インプットゲインを上げることで、固定されたスレッショルドを超える部分が増えるということですね。



スレッショルド(黄色の線)の位置は変わっていませんが、音量が小さい段階から、圧縮が開始されているのがわかります。

波形で見れば、こんな感じ。

スレッショルド(黄色の線)が変わらなくても、インプットが上がると、スレッショルドを超える部分が増えますよね。
その分、圧縮される量が多い。

ただし、インプットゲインを上げると、アウトプットの音量も当然上がるので、アウトプットゲインを下げないといけないです。
プラグインによっては、インプットゲインとアウトプットゲインのつまみが連動して動くようになっていたりします。

あれ?
ということは、スレッショルドのつまみがあるコンプは、スレッショルドを下げるのも、インプットゲインを上げるのも、同じということか?という話ですね。

これも、半分は正解です。
圧縮するという意味では正解。

ただし、アナログコンプは別なんです。
アナログコンプというか、実機の場合、実態のある部品を使用してつくられているわけです。
当然ですが・・・

そうなると、様々な部品やらなんやらの挙動により、意図せずに倍音が付加されるようになってるんですね。
この倍音ってのが、インプットゲインを上げると、付加のされ方が強くなるんです。

この意図せずに付加される倍音が、音を豊かにしたり、太くしたりするので、逆にいいじゃないか、って話で。
だから、アナログコンプのプラグインは、プラグインだからデジタルなんだけど、実機の倍音の付加のされ方も再現しているんですね。

ということで、インプットゲインを上げることで、スレッショルドを下げたときと同じように圧縮はされるんですが、プラス倍音が付加されます。
だから、倍音の分だけ、音が変わってくるんですね。

動画で見てみましょう。

2種類のコンプですが、倍音の付加のされ方も全く違いますね。

だから、いろいろなアナログコンプのプラグインがあり、同じコンプなのに、いくつも持っている人がいるんですね。

憧れの実機がほしいとか、使い慣れたつまみのあるプラグインがほしいとか、そういうことだけではないんですね。

ちなみに、アナログコンプでも、倍音が付加されなかったり、デジタルコンプでも倍音が付加されたりするので、一概にアナログとかデジタルとかだけでは判断できないんですけどね・・・

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